EC商品分析の実践方法|ABC分析・死に筋商品の見極め方
2026年3月20日
ABC分析の実践手順、利益率クロス分析、CVR×アクセスの4象限分析、死に筋商品の判断基準と在庫処分フロー、新商品の初動分析まで、EC商品分析に必要な知識を体系的にまとめます。
対象読者: 商品別のデータ分析で注力すべき商品と撤退すべき商品を判断したいEC担当者
この記事で分かること
- ✓ABC分析で商品をA/B/Cランクに分類する手順が分かる
- ✓売上×利益率のクロス分析で「売れるが儲からない商品」を発見できる
- ✓CVR×アクセス数の4象限分析で改善すべき商品を特定できる
- ✓死に筋商品の判断基準と在庫処分の意思決定フローが分かる
- ✓新商品の初動分析(発売後2〜4週間)の方法が分かる
「全商品に均等に広告費をかけている」「在庫が膨らんでいるけど、どれを処分すべきか分からない」——こうした悩みは、商品分析で解決できます。
EC売上分析が「全体の売上」を見るのに対し、商品分析は**「商品単位」の売上・利益・アクセス・CVRを分析**し、注力すべき商品と撤退すべき商品を明確にします。
本記事では、ABC分析の実践手順から利益率とのクロス分析、CVR×アクセスの4象限分析、死に筋商品の判断基準、新商品の初動分析まで、EC商品分析を体系的に解説します。
EC商品分析とは? ─ なぜ「商品単位」の分析が必要なのか
商品分析の目的と3つのメリット
- リソース配分の最適化 — 広告費・在庫・ページ改善の工数を、最もインパクトの大きい商品に集中
- 利益率の改善 — 「売れているが利益が薄い商品」を発見し、価格戦略を見直す
- 在庫リスクの低減 — 死に筋商品を早期に特定し、在庫コストを削減
商品分析の全体フロー(5ステップ)
- 商品別の売上・利益・アクセス・CVRデータを取得する
- ABC分析で商品をランク分けする
- 利益率クロス分析で「売上は高いが利益が薄い」商品を発見する
- CVR×アクセスの4象限分析で改善優先商品を特定する
- 分析結果に基づいて施策を実行する
ABC分析の基本 ─ パレートの法則で商品をランク分けする
ABC分析とは?
ABC分析は、売上貢献度の高い順に商品をA・B・Cの3ランクに分類する手法です。パレートの法則(全商品の20%が売上の80%を生み出している)を活用し、注力すべき商品を明確にします。
| ランク | 累積構成比 | 商品数の割合(目安) | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| A | 上位0〜70% | 全体の10〜20% | 稼ぎ頭。広告・在庫を集中 |
| B | 70〜90% | 全体の20〜30% | 育成対象。Aに引き上げる施策を検討 |
| C | 90〜100% | 全体の50〜70% | 見直し対象。在庫縮小・撤退を検討 |
ABC分析をExcelで実践する5つのステップ
Step 1: モール管理画面から商品別売上データ(3〜6ヶ月分)をCSVダウンロード
Step 2: 売上額の大きい順にソート
Step 3: 各商品の売上構成比を計算(商品売上÷全体売上×100)
Step 4: 累積構成比を上から順に算出
Step 5: 累積構成比が70%以下=A、70〜90%=B、90%以上=Cに分類
| 商品名 | 売上 | 構成比 | 累積構成比 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 商品X | 150万円 | 30% | 30% | A |
| 商品Y | 100万円 | 20% | 50% | A |
| 商品Z | 80万円 | 16% | 66% | A |
| 商品W | 50万円 | 10% | 76% | B |
| 商品V | 30万円 | 6% | 82% | B |
| ... | ... | ... | ... | ... |
ABC分析×利益率のクロス分析 ─ 売上だけでは見えない商品の実力
なぜ売上ABC分析だけでは不十分なのか
売上ABC分析は「売れている商品」を特定できますが、**「利益が出ている商品」**を特定できません。Aランク商品でも、利益率が低ければ実は利益への貢献度は小さいことがあります。
クロスABC分析の手順
売上ランク(A/B/C)と利益率ランク(高/中/低)を掛け合わせて、9つの象限で商品を評価します。
| 利益率 高 | 利益率 中 | 利益率 低 | |
|---|---|---|---|
| 売上A | 最重要商品。維持・強化 | 主力商品。利益率改善を検討 | 要注意。利益が薄い。価格見直し |
| 売上B | 育成商品。集客強化で売上拡大 | 標準商品。現状維持 | 改善余地あり。コスト構造を見直し |
| 売上C | ニッチ優良品。限定販売で利益確保 | 撤退候補。費用対効果を確認 | 即撤退候補。在庫処分を検討 |
商品別CVR×アクセス数の4象限分析 ─ 改善すべき商品を特定する
4象限分析の考え方
商品別のアクセス数を横軸、CVRを縦軸にした4象限マトリクスで、商品の状態を診断します。
| 象限 | アクセス数 | CVR | 状態 | アクション |
|---|---|---|---|---|
| ① | 高 | 高 | 主力商品 | 維持・強化。広告を継続、在庫を厚く確保 |
| ② | 高 | 低 | 改善余地大 | 最優先で改善。商品画像・説明文・レビューの見直し |
| ③ | 低 | 高 | 集客強化候補 | 広告出稿、SEO強化、SNS露出で集客を増やす |
| ④ | 低 | 低 | 撤退検討 | 死に筋候補。改善コストに見合うか検討 |
最も改善インパクトが大きいのは象限②(高アクセス×低CVR)です。すでにアクセスがあるため、ページ改善でCVRを上げれば即座に売上増につながります。
改善施策の具体的な方法はCVR改善ガイドを参照してください。
死に筋商品の見極め方 ─ 判断基準と在庫処分の意思決定フロー
「死に筋商品」の定義と判断基準
死に筋商品とは、売上が極端に少なく、在庫コストが利益を上回っている商品です。
| 判断基準 | 閾値 | 補足 |
|---|---|---|
| 売上ゼロ期間 | 3ヶ月以上 | 季節商品はシーズン外を除外して判断 |
| 在庫回転率 | 年1回未満 | 在庫回転率=年間販売数÷平均在庫数 |
| 粗利(保管コスト込み) | マイナス | 仕入れ原価+保管費+手数料 > 売上 |
死に筋商品の4つの対処法
| 対処法 | 内容 | 適した場面 |
|---|---|---|
| ①値引きセール | 20〜50%OFFで在庫を処分 | 商品自体に需要はあるが、価格がネックの場合 |
| ②バンドル商品化 | 売れ筋商品とセットにして販売 | 単体では売れないが、セットなら付加価値になる場合 |
| ③アウトレット出品 | アウトレット専用ページやモールで処分 | ブランドイメージを保ちつつ処分したい場合 |
| ④廃番・在庫返却 | 販売を中止し、在庫を返却または廃棄 | 改善の見込みがなく、保管コストが利益を超えている場合 |
在庫処分の意思決定フロー
- 3ヶ月以上売上ゼロか? → No: もう少し様子を見る / Yes: 次へ
- 値引き(30%OFF)で売れる見込みがあるか? → Yes: 値引きセール実施 / No: 次へ
- 売れ筋商品とのセット商品にできるか? → Yes: バンドル販売 / No: 次へ
- 保管コストは月いくらか? → 高い: 即廃番・在庫処分 / 低い: アウトレット出品
新商品の初動分析 ─ 発売後2〜4週間で売上トレンドを予測する
初動分析で見るべき4つの指標
新商品はABC分析の対象外(データ蓄積期間が短い)のため、発売後2〜4週間の初動データで評価します。
| 指標 | 確認タイミング | 目安 | 判断 |
|---|---|---|---|
| アクセス数推移 | 発売後1週間 | 目標の50%以上 | 50%未満なら集客施策を追加 |
| CVR | 発売後2週間 | カテゴリ平均以上 | 低ければ商品ページを改善 |
| カート追加率 | 発売後2週間 | 5%以上 | 低ければ価格や訴求を見直し |
| レビュー数 | 発売後4週間 | 3件以上 | 少なければレビュー依頼を強化 |
初動が悪い場合のリカバリー施策
- アクセスが少ない場合: 広告出稿(楽天RPP / Amazon SP)、商品タイトル・キーワードの最適化
- CVRが低い場合: 商品画像の差し替え(メイン画像を変更)、説明文のベネフィット訴求強化
- レビューが付かない場合: 購入後フォローメールでレビュー依頼、初期レビューキャンペーン
モール別の商品データ取得・分析方法
楽天市場 ─ RMSの商品別データの見方
| データ | 確認場所 | 用途 |
|---|---|---|
| 商品別アクセス数 | RMS > データ分析 > 商品分析 | 4象限分析の横軸 |
| 商品別転換率 | 同上 | 4象限分析の縦軸 |
| 商品別売上 | 同上 | ABC分析の元データ |
Amazon ─ ASIN別ビジネスレポート
| データ | 確認場所 | 用途 |
|---|---|---|
| ASIN別セッション数 | ビジネスレポート > 詳細ページ | 商品別アクセス数 |
| ユニットセッション率 | 同上 | 商品別CVR |
| 売上・注文数 | 同上 | ABC分析の元データ |
Yahoo!ショッピング ─ 商品別データ活用
ストアクリエイターProの「統計情報」→「商品別」から、商品ごとのPV・売上データを確認できます。
商品分析から施策実行へ ─ 分析結果を売上改善につなげる方法
| ランク | 施策 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| Aランク商品 | ページ強化・広告注力 | 商品画像の追加、A+コンテンツ作成、RPP/SP広告の入札強化 |
| Bランク商品 | CVR改善・販促強化 | レビュー収集、セット販売、価格テスト |
| Cランク商品 | 在庫縮小・撤退判断 | 値引きセール、バンドル化、廃番検討 |
商品分析は四半期に1回のペースで定期的に実施し、ランクの変動を追跡しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. ABC分析とは何ですか?ECでの使い方を教えてください
ABC分析は、商品を売上貢献度の高い順にAランク(上位70%)、Bランク(70〜90%)、Cランク(90〜100%)に分類する手法です。Aランク商品に広告費や在庫を集中させ、Cランク商品は在庫縮小や撤退を検討します。
Q2. ABC分析をExcelで行う手順は?
①商品別売上データをCSVダウンロード→②売上順にソート→③各商品の構成比を計算→④累積構成比を算出→⑤70%/90%で区切ってA/B/Cに分類の5ステップです。
Q3. 死に筋商品の見極め方は?判断基準を教えてください
①3ヶ月以上売上ゼロ、②在庫回転率が年1回未満、③粗利がマイナス(保管コスト込み)の3条件のいずれかに該当する商品です。ただし季節商品や新商品は除外して判断します。
Q4. 商品の売上ランクはどう決めるのが適切ですか?
累積構成比で分類するのが基本です。Aランク:上位0〜70%、Bランク:70〜90%、Cランク:90〜100%が一般的な基準です。取扱SKU数に応じて閾値を調整してください。
Q5. 在庫処分の判断基準は何ですか?
①保管コストが粗利を超えている、②90日以上在庫回転がない、③市場価値が下落し続けている場合は処分を検討します。値引きセール→バンドル商品化→アウトレット→廃番の順で検討するのが一般的です。
Q6. 新商品の売れ行きはどう分析すればいいですか?
発売後2〜4週間のアクセス数推移・CVR・カート追加率・レビュー数の4指標で初動を評価します。初動アクセスが目標の50%未満なら集客施策を、CVRが低ければ商品ページの改善を優先します。
Q7. 商品別CVRの分析方法を教えてください
モール管理画面またはGA4から商品別のアクセス数とCVRを取得し、アクセス数を横軸、CVRを縦軸にした4象限マトリクスにプロットします。高アクセス×低CVRの商品がページ改善の最優先対象です。
Q8. ABC分析はどのくらいの頻度で行うべきですか?
四半期に1回(3ヶ月ごと)が基本です。季節変動の大きい商材は月次でも有効です。セール後や新商品投入後には臨時で分析すると、タイムリーな意思決定ができます。
まとめ ─ 商品分析を「定期業務」にするためのチェックリスト
- ABC分析で商品をA/B/Cランクに分類し、Aランクにリソースを集中させる
- 売上ABC分析だけでなく、利益率とのクロス分析で「売れるが儲からない商品」を発見する
- CVR×アクセスの4象限分析で、最も改善インパクトの大きい商品(高アクセス×低CVR)を特定する
- 死に筋商品は3つの判断基準(売上ゼロ期間・在庫回転率・粗利マイナス)で見極める
- 新商品は発売後2〜4週間の初動データで評価し、早期にリカバリー施策を打つ
- 商品分析は四半期に1回を定期業務化する
まずはモール管理画面から商品別売上データをダウンロードし、ABC分析で上位20%の商品が売上の何%を占めているかを確認してみてください。EC売上分析の実践方法で全体の売上分析を行った上で、本記事の商品分析を実施すると、改善の解像度がさらに上がります。
よくある質問
Q. ABC分析とは何ですか?ECでの使い方を教えてください▼
A. ABC分析は、商品を売上貢献度の高い順にAランク(上位70%)、Bランク(70〜90%)、Cランク(90〜100%)に分類する手法です。Aランク商品に広告費や在庫を集中させ、Cランク商品は在庫縮小や撤退を検討します。
Q. ABC分析をExcelで行う手順は?▼
A. ①商品別売上データをCSVダウンロード→②売上順にソート→③各商品の構成比を計算→④累積構成比を算出→⑤70%/90%で区切ってA/B/Cに分類の5ステップです。
Q. 死に筋商品の見極め方は?判断基準を教えてください▼
A. ①3ヶ月以上売上ゼロ、②在庫回転率が年1回未満、③粗利がマイナス(保管コスト込み)の3条件のいずれかに該当する商品です。ただし季節商品や新商品は除外して判断します。
Q. 商品の売上ランクはどう決めるのが適切ですか?▼
A. 累積構成比で分類するのが基本です。Aランク:上位0〜70%、Bランク:70〜90%、Cランク:90〜100%が一般的な基準です。取扱SKU数に応じて閾値を調整してください。
Q. 在庫処分の判断基準は何ですか?▼
A. ①保管コストが粗利を超えている、②90日以上在庫回転がない、③市場価値が下落し続けている場合は処分を検討します。値引きセール→バンドル商品化→アウトレット→廃番の順で検討するのが一般的です。
Q. 新商品の売れ行きはどう分析すればいいですか?▼
A. 発売後2〜4週間のアクセス数推移・CVR・カート追加率・レビュー数の4指標で初動を評価します。初動アクセスが目標の50%未満なら集客施策を、CVRが低ければ商品ページの改善を優先します。
Q. 商品別CVRの分析方法を教えてください▼
A. モール管理画面またはGA4から商品別のアクセス数とCVRを取得し、アクセス数を横軸、CVRを縦軸にした4象限マトリクスにプロットします。高アクセス×低CVRの商品がページ改善の最優先対象です。
Q. ABC分析はどのくらいの頻度で行うべきですか?▼
A. 四半期に1回(3ヶ月ごと)が基本です。季節変動の大きい商材は月次でも有効です。セール後や新商品投入後には臨時で分析すると、タイムリーな意思決定ができます。
EC実務ラボ編集部
Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングの3モール運営経験をもとに、EC担当者が実務で使えるナレッジを整理しています。広告運用、商品ページ改善、分析、販促設計が主な領域です。
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